犬山 紙子さんスペシャルコラム
愛しいコミュニケーションの
きっかけは「ほめ写」
イラストエッセイスト 犬山紙子
2021/11/19
イラストエッセイスト 犬山紙子
「この時キックボードの練習頑張ってたねえ」
「アクリル絵の具でお絵描きしたねえ、あれ、今したいの? わかった用意しよう」
これまで七五三の写真は飾っていたけれど、意識的に娘の写真をたくさん飾ることはしていなかった我が家。娘の写真を見るのはもっぱらスマホ。夫とランチの時間に娘の写真を見ては「かわいすぎる!!」と悶える日々でした。そんな私がペアレンティングアワードの受賞を通して「ほめ写プロジェクト」を知り、実際に「ほめ写」を試したところ冒頭のやりとりが生まれたのでした。
「ほめ写プロジェクト」とは、子どもが何かを頑張っている写真や、何気ない日常の様子や大切な人に囲まれている写真などを家に飾り、それを通してほめることで子どもの自己肯定感を上げようという取り組み。日本は他の先進諸国に比べ、自己肯定感の低い子が多いと言われる中、親としてとてもとても気になったのです。
「子どもにどんな風に育ってほしいか」と聞かれると「自己肯定感のある人になってほしい」と答えていました。それは失敗しても、辛いことがあっても「自分はここにいていい」「自分は生きてて良い」と思える力。「自分なんていない方が良い」と思っちゃってもすぐに立ち直れる力。私は言葉で「大好きだよ」「信頼しているよ」と伝えるようにしているけど、それにはきっかけがあるともっと言いやすい。そのきっかけ作りにほめ写はうってつけだ! そう思ったのです。
そういえば、保育園にお迎えに行くと園児たちの写真がたくさん飾られています。その写真を通して娘からコミュニケーションが発生していました。
「この時、みんなででんぐり返りしてたよ」
「この時はお友達とおかあさんごっこしてたの」
どんどん嬉しそうにたくさん教えてくれる。「頑張ったんだねえ」と言うととても嬉しそうな顔をする娘。あれが家でもできる!
届いた写真パネル(今回、富士フイルムのWall Decor(ウォールデコ)を注文)の美しい仕上がりに感動しつつ、早速娘の目線に配置。娘は頑張っている自分の姿や愛されているとひと目でわかる写真を見ては楽しくおしゃべりしてくれます。娘に怒ってしまった時も、私の目に入る私と夫で娘をぎゅっとしている写真。私も我に返るし、それは「怒ってる時もあなたのことが大好きだよ」と代弁しているかのようです。そしてそれを伝えるきっかけになるのです。
愛情を伝えることに伝えすぎなんてないですから、こういったしかけはたくさん家にあると良いなと思うんです。ほめ写を行ったことで我が家は子どもの「安全基地」に一歩近づけたような気もします。
生まれたての娘の写真も飾っています。小さな体で命懸けで頑張って生まれてきたね。私も命懸けで頑張った。娘だけじゃなくて自分のこともほめられるお気に入りの写真。大人も、頑張る子どもの写真を通して自分をほめられる、そこも「ほめ写」が大好きなポイントなんです。
プロフィール
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犬山紙子氏
イラストエッセイスト1981年、大阪府生まれ。
2011年、女友達の恋愛模様をイラストとエッセイで書き始めたところネット上で話題になり、マガジンハウスからブログ本を出版しデビュー。
現在はTV、ラジオ、雑誌、Webなどで活動中。
2014年に結婚、2017年に第一子となる長女を出産してから、児童虐待問題に声を上げるタレントチーム「こどものいのちはこどものもの」の立ち上げ、社会的養護を必要とするこどもたちにクラウドファンディングで支援を届けるプログラム「こどもギフト」メンバーとしても活動中。