ホーム 「ほめ写」コラム Vol.1 自信のある子に育ってほしい。子どもの「自己肯定感」を高めるには?

Homesya project Vol.1 自信のある子に育ってほしい。 子どもの「自己肯定感」を
高めるには?
2018/08/28

目次

子どもの「自己肯定感」が低い日本

「思いやりのある子に育ってほしい。」「物事を前向きに乗り越えられるようになってほしい。」「自分に自信を持って、他人と比較することなく、幸せな毎日を送ってほしい。」、そんな思いを抱く親御さんは多いと思います。

しかし「日本は諸先進国に比べて自己肯定感が低い」という調査結果が内閣府から発表され、国としてもその対応策を講じることが急務とされています。

我が国と諸外国の若者の意識に関する調査(平成25年・内閣府)N=各国1,000

親を対象にした調査の結果を見ても、「自己肯定感が子どもに与える影響を知っている」という親は約30%、子どもの自己肯定感に対して「意欲的に行っていることがある」親は半数以下に留まりました。まだまだ親の自己肯定感に対する認識や理解が低いのが現状です。

実際に「自己肯定感」という言葉を知っていても、子どもにどんな影響があるのか、どう育んでいったらいいかわからないという親御さんも多いのではないでしょうか?

「自己肯定感」が高い子どもと
低い子どもの違い

そもそも自己肯定感って? 子どもにどんな影響があるの?

自己肯定感とは、「自分には価値があるんだ」「自分は愛されているんだ」といったように自分の価値や存在意義を前向きに受け止める感情や感覚のこと。自分のことが好きで、今の自分に満足している子どもの心や行動のあり方を指します。

自己肯定感が高い子どもには下記のような特徴があります。

  • 他人を尊重し、コミュニケーション能力が高い
  • 自分の感情や衝動をコントロールできる
  • ポジティブで、プラス思考
  • 物事に意欲的かつ集中して取り組むことができる
  • 失敗を怖れず、チャレンジ精神がある
  • 人と自分を比較することが少なく、幸福度が高い

自己肯定感が高い子どもは、自分のことを大切に思い、周囲からも大事にされていると感じているため、失敗よりも成功を強く意識して前向きにチャレンジしたり、壁にぶつかっても立ち向かっていくことができます。また、人と積極的に関わり、他者や環境を受け入れ、良好な人間関係を築いていける傾向にあるのです。

一方、自己肯定感が低い子どもは、成功よりも失敗した体験を強く意識し、自分を否定的に捉える傾向にあると言われています。自らの感情がコントロールできず情緒不安定で、自分や他人を信頼することができないため、協調性がなく、あきらめやすいことが特徴として挙げられます。

自己肯定感を伸ばすには
「ほめる」ことが大事!
自己肯定感が下がるタイミングは
小学校入学時だった

子どもの自信を育み、豊かな人生を送るための基盤となる自己肯定感。
では、子どもの自己肯定感を高めるためには、どうすればよいのでしょうか。

子どもの自己肯定感を高めるために重要な鍵となるのは「ほめる」こと。ほめられることで、子どもの心はオープンになり、素直な気持ちになります。また、認めてくれた相手に対する信頼が高まり、他人に対しても優しくなれます。そして、前向きに自分の力を出して、誰かの役に立ちたい、もっと頑張りたい、と思うようになるのです。

ほめ写プロジェクトが実施した意識調査によって、子どもの自己肯定感は小学校低学年で大きく低下する傾向にあることがわかっています。小学校に入学し、周りの環境が変わるため、子ども自身も他人と比較をし始めることが影響すると考えられます。たとえば、学校生活のなかで「計算ができない」「走るのが遅い」「字がうまく書けない」など、クラスの友だちと比較して、自分ができないことに意識が向かってしまうこともあるでしょう。

また、同調査では約6割の小学生の親が「子どもに自信がない」ことに悩んでいることもわかりました。親ができると思っていたことを子どもができなかった場合に、「自信がない」と感じているようです。
たとえば、家ではよく話す子どもが、友だちの前では静かになったり、授業中に発言ができなかったりした時、子どもに自信がないと感じてしまいがちです。「友だちの輪に入れないなんて、コミュニケーション能力が低いな」「授業中に発言ができないなんて、勉強ができないんだな」と「できないこと」に目を向けて、無意識のうちに親が子どもを否定してしまうこともあるのではないでしょうか。だからこそ、意識的に「ほめる」ことが重要になります。

とは言っても、どのタイミングでどうほめたらいいかわからない、という親御さんも多いと思います。具体的にどんなふうにほめたらいいのか、見ていきましょう。

「ほめる」ことには2種類ある!?

「ほめる」には「条件ほめ」と「無条件ほめ」の2種類があります。
一つの「条件ほめ」は、子どもが頑張った時や何かができるようになった時、よい結果を出した時に、一緒に喜んだりするなど子どもの努力や達成についてほめることです。「上手に絵が描けたね」「宿題をよく頑張ったね」「かけっこ1番、おめでとう!」といったように。とても大切ことですが、条件付きのほめだけでは、自己肯定感はうまく育まれません。

もう一つの「無条件ほめ」は、何か特別なことがなくても、子どもの存在自体をほめてあげること。「あなたのことが大好きだよ」「生まれてきてくれてありがとう」といったように、親の無条件の愛情、無条件なほめ言葉が、子どもの自己肯定感を育み、生きる力につながるのです。

発達心理学の専門家である東京学芸大学教授の岩立京子氏は、「人にほめられると、“ほめられる自分”や“成功する自分”に出会っていくので、そういったことを通じて、自己概念や自尊心、自信が生まれ、自分で考えて行動できるようになります。ほめることは一般に考えられている以上のよい意味があると思います」と言います。

写真で子どもの自信を引き出す
「ほめ写」プロジェクト始動!

子どもの自己肯定感を育むためには、無条件にほめることが大事! とは言っても、毎日子どもをほめるのはなかなか難しい……。親だって疲れている時やイライラしている時もあります。日々子どもと向き合っているなかで、どのタイミングでどんな言葉をかけたらいいのかわからない。一時的にできたとしても、毎日続ける自信がない。

そんな方におすすめなのが「写真」の力を借りること。具体的には、子どもが輝いている姿を写真や家族との日常の何気ない写真をプリントアウトして、子どもの目立つところに飾っておくだけ。すると、言葉でほめられていない時でも、写真を見ることで、ほめられた思い出を反芻し、自己肯定感が高まることが期待できます。

「問題集に真剣に取り組んでいる」「レゴブロックに没頭している」「素晴らしい絵をかきあげた」……そんな写真に囲まれて育った子どもは、「自分はできる、頑張れる」という思いを強くしました。また、仲睦まじい家族写真を毎日見て育った子どもは「私は家族に大切にされている、愛されている」という気持ちを抱くようになったと、教育評論家の親野智可等(おやの ちから)氏は語ります。氏はこの経験から、写真によって、自己肯定感が育まれる効果があるのではないかという仮説にたどり着いたのです

その仮説を実証すべく、写真でほめて子どもの自信を引き出す「ほめ写」プロジェクトが始動しました!「ほめ写」は、子どもの写真をプリントして家の中に飾り、目に見えるカタチで、親が子どもの存在意義を認め、愛情を伝えよう、という試みです。ぜひ、写真の力を使って、お子さまをほめてあげてください。忙しい日々でも毎日、親子のコミュニケーションを深めてみてくださいね。

今すぐほめ写を始めてみませんか?

写真で子どもの自己肯定感を高める「ほめ写」をやってみよう

プロジェクトメンバー

  • 教育評論家 親野智可等

    教育評論家 親野智可等氏

    本名 杉山 桂一。長年の教師経験をもとにメールマガジン「親力(おやりょく)で決まる子供の将来」を発行。具体的ですぐできるアイデアが多いと評判を呼び、新聞、雑誌、テレビ、ラジオなど各メディアで絶賛される。子育て中の親たちの圧倒的な支持を得てメルマガ大賞の教育・研究部門で5年連続第1位に輝いた。ブログ「親力講座」も月間PV20万超。『「叱らない」しつけ』(PHP文庫)などベストセラー多数。現在、全国各地の小・中・高校、幼稚園・保育園のPTA、市町村の教育講演会で大人気となっている。

  • 応用健康科学、脳科学 
    篠原菊紀
    公立諏訪東京理科大学 教授

    応用健康科学、脳科学 篠原菊紀氏

    東京大学、同大学院修了。共通教育センター・工学部情報応用学科(知能、医用、健康、センシング)教授、大学院工学マネジメント研究科教授。確率的条件と快感のかかわり、ギャンブル障害、中高年の脳トレ、子どもの教育方法などについて研究している。過去に写真療法、デジタル情報と紙情報の差についての実験を行っている。著書に「すぐにやる脳」に変わる37の習慣 」(KADOKAWA)、「子どもが勉強好きになる子育て」(フォレスト出版)、他多数。フジテレビ「とくダネ!」など多数のテレビ番組等で解説や監修を行っている。

  • 発達心理学者 
    岩立京子
    東京家政大学子ども学部
    子ども支援学科 教授

    発達心理学者 岩立京子氏

    東京学芸大学教育学部、大学院修士課程を経て、筑波大学大学院博士課程心理学研究科心理学専攻に進学。平成5年に博士(心理学)を取得。専門分野は幼児教育、発達心理学。筑波大学大学院博士課程修了後、筑波大学心理学系技官を経て、東京学芸大学幼児教育科で30年、その後2020年4月より東京家政大学子ども学部子ども支援学科にて、一貫して幼児教育の専門家養成に従事している。 また、日本乳幼児教育学会常任理事、全日本私立幼稚園連合会幼児教育研究機構理事を務め、文部科学省の調査研究協力者会議の委員などを歴任するとともに、NHKのEテレ「すくすく子育て」、雑誌等において子育ての助言を行っている。

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